弁護士千葉博コラム

6 生き方について思うこと

■ 自分のやりたいことの具体的イメージを――ただの現状維持ではつまらない

 司法試験の予備校でお教えしていて、感じるのは、
十分に自分の将来像をイメージできている人が、意外に少ないこと。

 毎年、講義を受講される人向けのガイダンスをする機会があります。
そこで、初めて、「司法試験を受験しよう。」「弁護士になりたい。」
という受講生の皆さんと接することになります。

 これからロースクールに向けて勉強を始めよう、という人は、
皆さん希望に胸ふくらませて、目を輝かせてきています。
めらめらと燃えて来られる方が多いのですが、
いずれそれが続く人とそうでない人に分かれてきます。

 これはなぜなのでしょうか?

 お話ししていて気づく一つの理由は、
自分の志望が漠然としてしまっていないか、という点です。

 「弁護士になりたい」 「検察官になりたい」

 この思いは誰しももっているわけですが、問題はその先。

 自分が弁護士になって、何をしたいのか、どのような仕事をしたいのかを明確にもっている人は、目標がはっきりしているだけに、少々の壁にぶつかってもへこたれません。

 弁護士になりたい、なんとなく。これでは強いモチベーションのわきようもないと思います。自分は弁護士になって医療過誤に苦しむ人たちを助けるんだ、と希望していれば、自分の夢にむかってがんばり続けることができる。

 志望を明確に持つことによって、自分のパワーを引っ張り出すことができます。

 弁護士の仕事、といってもさまざまです。
まず、国際関係を扱う渉外弁護士、国内問題を扱う一般民事の弁護士に分かれます。
更に、一般民事にもいろいろあって、

 ● 企業法務
 ● 商法関係
 ● 知的財産関係
 ● 金融関係(銀行・保険等)
 ● 倒産法関係
 ● 労働関係
 ● 医療関係
 ● 建築関係
等々、細かく挙げていったらきりがありません。

 この中の何を自分はやりたいのか。真剣に考えてみてほしいのです。

 もっとも、これではまだ抽象的すぎです。例えば、私の専門の一つである労働関係でも、使用者側の仕事をするのか、労働者側につくのか。倒産法関係といっても、企業等を精算してしまう破産の仕事を主とするのか、再生を目的とする会社更生法等の仕事をするのか、更にどの程度の規模の仕事をイメージするか。

 想像でかまわないと思います。
実際に修習にいって実際の仕事を見たら、志望が変わるということも多々ありますし。

 今の自分にとって、本当にやりたいことをできる限り、
具体的に、リアルに思い浮かべてみてください。

 弁護士になってからも、自分のしていきたいことを具体的に考えることは重要なことです。ただ流されて日々の仕事をこなしていく弁護士もたくさんいます。それでも生活はできてしまうでしょう。でも、それでは、だんだん輝きを失っていってしまうと思うのです。

 世間的にはいい職業と思われていても、自分にとってはどうなのか。合格後は何十年もその仕事を続けていくのかもしれません。どんなに世間からよく思われようとも、自分自身がその仕事自体に喜びを感じることができなければ、きっと砂をかむような人生になっていってしまうのではないかと思います。

 これまでの自分の経験も踏まえ、一方ではそれにこだわることなく、
常に自分がどのような仕事をしていくべきか、どのように生きていくべきか。

 常にそれを考えながら生きていきたいと思います。

■ 迷ったら一歩前に出る

 迷うということは、自分の中に「それをしたい、できるかもしれない」と思う気持ちがあるからです。そうでなければ、そもそもそのような発想が湧いてこないでしょう。例えば、私が「メジャーリーガーになろうか」と迷うことはありません。

 迷いの裏には、本当の自分の「これをしたい」という気持ちが隠れています。
格好の羅針盤といってもよいでしょう。

 これまで、数えられないほど「迷ったら一歩前に」出てきましたが、
後悔したことは一度もありません。