弁護士千葉博コラム

3 時間活用法について

■ やるべきことをすべて書き出す

 スムーズに多くのことをやり遂げるためには、
やるべきことリストを常に持ち歩くことが必要です。

 あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と、頭にごちゃごちゃと覚え込んでいたのでは、混乱するばかりで、最適な時期にやるべきことを見いだす、などということはできなくなってしまいます。

 私は、大学に入ったころから、その日にやるべきことリストを書き出して携帯する、
ということを続けています。

 仕事でもプライベートでも、やるべきことややりたいことが浮かんできたときには、
胸ポケットに忍ばせてあるA4・四つ折りのペーパーを出して、メモするのです。

 そこには、一日にやるべきことが常に少なくとも約200程度書き出されています。毎朝、起きたら、それを見て優先的にやるべきことを5個くらいチェックします。そして、それ以外のことは基本的に忘れて、その5つに集中する。

 それが終了したら次になすべきこと5つ。単に優先順位だけで決めるというのではなく、その時々のシチュエーションの中で、もっとも時間を有効に使える方オフは何か、を考えるようにしています。

 例えば、電車で座れる見通しの時には書面書きを優先し、
まとまった時間歩くことが予定されていれば電話をかける、など。

 終わったものは次々に線を引いて消していきます。終了を表す線がどんどん増えていくのを見るのは快感です。そのうちに勢いがついてきて、5個が3巡目にはいる頃には、フロー状態に入っていて、どの仕事にもすっと抵抗なく手が出せるような状態になっています。

 一方で、仕事の過程では、ある作業を終えれば次の作業をしなければならなくなるということもあります。それを覚えていようとしても完璧に覚えきることはできませんから、直ぐに書き出します。

 義務的にやることだけではありません。映画の予告を見て「これ、見たい」と思えばそのタイトルをメモする。新しい店の噂を聞いてそれが気になったらその店名をメモする。メールチェックが遅れ気味だとなればメールチェックという項目を入れる。新しく勉強したい法律が出てきたらその法律名をメモする。

 とにかく、ありとあらゆる自分の行動に結びつく事柄は書き出すことが大切です。
そこに行けば、自分がやるべきことが網羅されているという状態にしておく。

 それによって、常にそこに立ち返りながら次の戦略を立てれば、
取りこぼしはないというようにするのです。

 逆に、頭の中には、「やることリスト」に対応するような無駄な知識を覚えておく必要がありませんから、頭はすっきりして、目の前の課題に集中することができるようになります。

 「やるべきこと」といっても、いろいろあります。

 まず、単発のイベントとして現れるものと、毎日・毎週継続して続けていくものに分類ができるでしょう。私は、これを日々ルーティーンとしてやるべきことと、それ以外に分けて書き出しています。

 ルーティーンの方は、例えば下請法について事例研究するとか、英語を勉強するとか。それ以外というのは、例えばある事件についての準備書面を書くなどというのがあります。

 ルーティーンの方は、徐々にしか変動しませんが、
それ以外は日々20から30項目位が移り変わっていくことになります。

 次に、一つの行為として短期間で終わるものと、一定時間の継続を要するものがあります。短期間で終わるものについてはそれを一項目として数えていますが、英語の勉強のように、一定時間継続するものについては、その負担を項目数に反映できるように、6分1単位で一項目と換算しています。もともとは、弁護士報酬を時間で精算するときに、6分単位で請求することが多いことから、これに習ったものです。

 例えば、英語の勉強が1時間なら10単位、自己啓発CDを30分聴くなら5単位、
といった感じです。

 このようにして1日にやるべきことが平均210項目くらいになります。

 これを毎日更新して、常に持ち歩き、そのときどきでやるべきことを選んでいるのです。

 ただし、完全主義はいけません。

 210の書き出した項目をすべて毎日鼓なさらなければならないなどとしたのでは、
日々これを達成できない日が続き、嫌気がさしてきてしまうに違いありません。

 そこで私は、210ある項目脳のうち、7割について実現できれば、
それでよしとすることにしました。

 210 × 0.7 = 147

 147項目を行う事ができれば、その日は合格、といった感じになりました。

 このように具体的な数値の目標があれば、それを達成するためには時に
一気に頑張ろうなどということも出てきて、結果を出す流れが加速されるのです。

■ 決断力の減退防止

 時間の有効活用を図るためには、スッと行動に移れることが重要です。ところが、なかなかそうはいかないことも多いですね。そのひとつの要因が、決断力の不足。次に何をやるか、といったことが決断できない、となると、それだけで時間が無駄に過ぎていきます。私が日頃、この点について心がけていることをお話します。

 調子が悪くなってくると、決断力がなくなってきます。

 いわゆる「優柔不断」です。

 例えば、朝イチで事務所に出て、さあスタート、となったときに、すっと最初の仕事に入って行くことができない。大きい準備書面の作成と、小さい報告書の作成、さてどちらからやろうと思ったときに、迷いが出るのです。

 調子がいいときには、パッとどちらかに着手して、
終わったら間髪入れずに次に仕事に取りかかることができるのに。

 あるいは、書面を書き始まったときに、まだ別件の資料の整理が終わっていないことを思い出してそちらに取りかかってしまったり、そんなことが起きるようになります。

 さて、どうするか。

 感情と行動は連動しています。

 スランプになりかかっているという精神状態が、とるべき行動の決断ができないという形で体に表れている。そうであれば、逆もしかり。直ぐに決断をして取りかかるようにすれば、精神状態も上り坂になるはず。

 面白いから笑うのではなく、笑うから面白いんだ、などといいますよね。理屈は同じ。

 そこで、普段から意識的に決断を早くするように心がけています。

 卑近な例からは、例えばものを食べようとお店に入ったとき。メニューを見て、できれば5秒以内で食べるものを決めるようにする。決められなかったら、しかたありません。自分へのペナルティという意味も込めて、メニューの端から端までを指して、「ここからここまで」とやります。

 やることがたくさんある日でも、するべきことは全て予めリストアップしておいて(デビッド・アレンのGTDの初歩版でしょうか)、パッと見て直ぐに最初にやるべき5つをリストアップするようにする。決めたら迷わずその5つに集中する。終わったら次の5つを選ぶ、・・・その繰り返し。

 DVDを買おうと店に行ったら、欲しいものがいくつも出てきて、どれにするかが決まらない。迷っている自分に気がついたら、時間の締切を自分に宣言するようにする。「あと5分で買い終わっていること。」

 決断をしたらそれを揺るがないようにすることも必要です。

 今日中に「これとこれをやる」と決めたら、何があってもそれを守る。
午前3時になろうが、4時になろうが、関係ありません。
自分で決めた以上は必ずやり遂げる。

 当然苦労することも出てきます。それは、自分の決断の内容が間違っていて、正しい時間見積もりができていなかっただけのこと。次の時間設定の修正材料にすればいいだけの話です。

 とにかく自分との約束は守る。決断したことは絶対です。

 そういった癖がついてくればしめたもの。

 素早く決断をすること、いったん決断したことは徹底して守ること、
それがだんだん自然にできるようになります。そんな自分が好きなってきます。

 自信もついてきます。

 スランプがどんどん遠くなっていきます。